ピンクとグレー(文庫)

狂気と愛」 こそうの

 

狂おしい。この本を一言で表すのならばこの言葉でしか有り得ない。その狂気は愛であったり、熱であったり、後悔であったり僻みであったりと様々だ。でもこの本のそんな狂気はたまらないくらいに、曖昧ではなく澄み切っていて混じり気のない。

欲望や、嫉妬やドロドロとした感情が前半を渦巻く。しかし本のタイトルの通りに鮮血や漆黒に、途中で垂らされる白。世界はかわり色がかわる。主人公の目にはどれだけのものが変わってしまったのだろう。彼ががむしゃらに進み続ける姿は美しい。まるで赤や黒が白になるとでも信じていて、染め直そうとしているのではないかとそんなことを疑ってしまう。
しかし、どれだけいってもピンクとグレーにしかならない曖昧さがこの本の醍醐味であり切なさの境地である。
しかし、あの、ラストシーンだけは白色であったのではないのだろうか。
その先の色はわからない。狂おしいくらいのがむしゃらさの先の色。その色は曖昧なままでいいと私は思っている。
私はりばちゃんが狂おしいくらいに悲しい。ごっちが狂おしいくらいに憎らしい。ふたりの関係が、ふたりのことが狂おしいくらいに愛おしい。
そして読むタイミングで感想や感じ方は曖昧な2色のように変化する。ピンクが濃い日、グレーが濃い日。狂気と愛のバランスは読むタイミングによってバラバラだ。だからこそ、何度でも楽しめるこの作品が私は狂おしいくらいにだいすきだ。

 

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